平成18年8月、神鏡が暑中見舞いとして我々に贈った作品です。
記録的な猛暑であったこの年の夏、神鏡は『異邦人達の終着駅』を大改装し、サイト名も『Lemon slice』に変えてリニューアルオープン。従来のクラシックなスタイルから、白とレモンイエローを基調とした清涼感のあるスタイリッシュな新しいサイトへと生まれ変わりました。リニューアルオープン後初めて神鏡が世に送り出す絵となった本作品は、大きな入道雲と澄んだ青空、そして大地に見渡す限りどこまでも咲き誇る向日葵と、一枚の絵に『夏』という世界、その魅力を完璧に閉じ込めることに成功したものといえます。その鮮やかな色彩もあいまって、これまでの彼の作品よりもはるかに質感があり、『Lemon slice』というサイト名から連想されるのと同様の甘酸っぱさ、明るさが絵から見る者の視界いっぱいに溢れ出すような印象を受けます。
絵の中央に描かれた二人の少女。ホースの水で背後に虹をつくりいたずらっぽくウインクしている少女と、向日葵を胸に抱き静かな微笑みをたたえている少女、この二人の少女の動と静の対比の描写が、本来は静止している世界に躍動感を与えています。
左側に立つ少女の手にしているホースが、無造作に持っているようでいて実は東洋美術の仏像彫刻などに見られる伝統的な様式を取り入れていることにお気付きでしょうか。
ふくよかで立体感のあるバストを強調するタンクトップと夏らしい涼しげな短パンを身につけ、至って今風の装いをした少女。一見新しいイメージの中に、確かな伝統的様式をさりげなく用いる。才能のみに頼ることなく堅実にイラストの勉強を積み重ね、人間の視覚に快感を与える描写を計算し尽くしてきた神鏡ならではの、実力を感じる描写です。
どこまでも広がる、クリアな世界。リニューアルした新サイトの清涼感を象徴するかのようなこの作品は、神鏡全盛期の傑作であり、当サイト最高のコレクションの一つと言えるでしょう。
なお、展示にあたってはその繊細で鮮やかな色彩と作品世界の躍動感を損なうことのないよう敢えて壁紙をはらず、無地の白を背景にした展示とさせて頂いております。(解説:冬月)


BACK